空飛ぶ映画レビュー

主に新作映画の感想を綴ります。

『君が世界のはじまり』感想 想像の中の健全すぎるグレた若者像(古い)

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引用:https://kimiseka-movie.jp/

『君が世界のはじまり』の感想 ネタバレほぼ無し

想像の中の健全すぎるグレた若者像

監督:ふくだももこ(はじめて観ました)

公開日:2020/7/31

鑑賞日:2020/7/31

おすすめ度:★(1/10)

 

〈あらすじ〉

大阪のとある街で高校生による父親殺しが発生する。その裏で起きていた6人の高校生たちの葛藤が描かれる。主人公の「えん」は、奔放な親友「琴子」の一目惚れに振り回されるが、その相手の男の子の秘密を知ってしまう。母親が家を出てしまった事で父との関係がこじれている「純」は、その行き場のない怒りを転校生の「伊尾」との性行為にぶつける。

 


『君が世界のはじまり』本予告

 

〈感想〉

公開日初日にちゃんと映画館で観たので言いますが、全く面白くなかったです。

頭の中で想像した若者像を、「今の若者はこんな風でしょ!」と、コテコテの固定概念で描いた感じがして、なんだかすべてが嘘くさく感じてしまいました。

リバースエッジを読んで、雰囲気だけ真似してみました。みたいな映画でした。

 
プロローグ後、校門でスカートの短さを先生に指摘された本作の”ヒロイン”琴子(女子高生)が、学校中を走り回って逃げる。というシーンで始まるのだけれど、それが「パンを咥えて走って、街角で転校生とぶつかる」のと同じくらいベタ過ぎて、スーッと気持ちが一気に離れてしまった。その後もこの琴子という登場人物の紹介シーンがやたらと多い。母親はスナックのママで、親公認でたばこは吸うし、どうやら「ヤリマン」と呼ばれるタイプの女の子だが、本当に好きな人には不器用。という、漫画やテレビで腐るほど見たことあるようなタイプの女の子なのだ。

(琴子を演じる「中田青渚」ちゃんは、全然悪くない。むしろ、むちゃくちゃな設定のキャラをとても魅力的に演じていたと思う。)

 

主要人物うちの一人の純は、母親が出ていったことを父のせいと思い込んでグレている女の子。義母に対して報われない想いを抱く転校生の伊尾を馬鹿にしながら依存する。

 

こういうように、どっかから切ってきて貼ったような、テンプレキャラばかりが出てきて、何故か同級生の親殺しを機にみんな一皮剥けるという、むちゃくちゃな話なのだ。

物語最大の秘密も、どうでもいいような脇役がぽろっと言っちゃうし、大事な問題も「あ、それもう解決しました」とさらっと流される。重要なはずの成長の過程が、ブルーハーツを歌うことで胡麻化されていて、見ている側はまた置いて行かれる。

 

 

「私は一体何を見ているのか・・・」

と時間がもったいなくなってしまった。

(リアルに腕時計を見た)

 

この時代に、「ブルーハーツに心酔する高校生」というのがリアルではないし、女子高生に「ちんちん」と言わせったた!って感じがもう寒くて見ていられない。(私たちは「カンチ!セックスしよう」を経験しているのだ。)

 

何か起きているけど、何も起きていない映画だった。

ブルーハーツという共通点のある(脚本も同じ方)『リンダリンダリンダ』は何も起きていないようだけど、登場人物の成長・変化が納得できる映画だった。

 

最後の水たまりのシーンだけは美しかった。

 

kimiseka-movie.jp

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