*引用:https://doraeiga.com/2020/index_pc.html 映画公式WEBサイトより
『ドラえもん のび太の新恐竜』の感想 ネタバレほぼ無し
のび太、碇シンジのごとく
スケールが大きくて、見ていて「映画見てる!」というダイナミズムを感じるが、
私が知っている「のび太くん」ではなかったし、子供に見せるのはためらうメッセージ性に、ちょっとだけ引いてしまった。
監督:今井一暁
公開日:2020年8月7日
鑑賞日:2020年8月10日
おすすめ度:★★★★(4/10)
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<あらすじ>
のび太が恐竜博の化石発掘体験で見つけた1つの化石。 絶対に恐竜のたまごだ!と信じたのび太が、ドラえもんのひみつ道具“タイムふろしき”で化石を元の状態に戻すと…… 生まれたのは双子の恐竜!しかも、未発見の新種だった。 のび太に似てちょっと頼りないキューと、おてんばなミュー。個性の違いに苦労しながら、親のように愛情たっぷりに育てるのび太だったが、やがて2匹が現代で生きていくには限界がきてしまう。 キューとミューを元の時代に返すことを決心したのび太は、ドラえもんや仲間たちと共に6600万年前へと出発! キューやミューの仲間の恐竜たちを探す旅がはじまった。 ドラえもんのひみつ道具や恐竜たちの力も借りながら、恐竜の足跡を追って進むのび太たちが辿り着いたのは謎の島。 恐竜が絶滅したとされる白亜紀で待ち受ける、キューとミュー、そしてのび太たちの運命とは―――!?
<感想>
小さいころからドラえもんっ子ではなかったので、ドラえもんを劇場で見るのは初めてだった。物語の前半はいつものドラえもん映画なのだが、後半の のび太の暴走はさながらエヴァンゲリオンの碇シンジ君だった。
「恐竜絶滅」という絶対に避けられない絶望的な未来を前に、ひみつ道具がキーとなって、第3の答えを出すというところがとてもダイナミックで、あっぱれ。見終わった後も「面白かったなー」と単純に思えるのだけれど、どうしてもモヤモヤが残ってしまう。
違和感のもとは、のび太の行動と、それを全面的に肯定するこの映画の根本のテーマ。
今回登場するのは双子の恐竜。本来飛べる(滑空)するタイプの恐竜で、一方(ミュー)は勝気で活発で飛べるのだけれど、一方(キュー)が病弱で体も小さく、飛ぶことが出来ない。
恐竜の群れに返そうとするのだけれど、キューは「飛ぶことが出来ない」ために、群れからはぶられてしまう。のび太はキューを群れに戻そうとスパルタ的に飛ぶ練習を強要する。それはもうしつこく。
しっぽが短く体も小さいキューは身体的に飛ぶことが困難。これは根性云々では解決しない問題で、このシーンが見ていて非常につらかった。他の長所が見つかって「飛ばなくていい」結末が待っているものと思ったが、最終的に”羽ばたく”ことでキューは飛ぶことが出来るようになる。飛ぶことが出来るようになることで、無事キューは仲間の元に戻るのだ。
運動も勉強も苦手だけど、人を思いやることが出来きて、いざという時は人のために行動をすることが出来るのび太。そこがのび太の長所で、彼はそのままでいい。彼の情の深さが、ジャイアンのフィジカルが、スネ夫の知識が、しずかちゃんのやさしさが問題を解決させるのがこれまでのドラえもん映画だった(と思っている)。
今回の映画は、仲間と一緒にいるためには皆とおんなじになれと言っているようにしか見えなかった。
そこがどうしても引っかかってしまう。
男女共同参画社会は、女性も男性と同じ役割をすることではない。
この時代に、どうなのだろう・・・。
と思いながらモヤモヤ・・・。
面白いか、面白くないかと言われると、「面白かったよ!」とおすすめできるけど、ちょっと引っかかってしまう人も多いのではと思う。
(時を戻そうと暴走するのび太くんの退廃的な男前感は、Qの碇シンジ君の暴走を彷彿とさせて嫌いではなかった)