*引用:toumei-ningen.jp 映画公式WEBサイトより
『透明人間』の感想 ネタバレあり
監督:リー・ワネル
公開日:2020年7月10日
鑑賞日:2020年8月7日
おすすめ度:★★★★(4/10)
<あらすじ>
富豪で天才科学者エイドリアンの束縛された関係から逃げることの出来ないセシリアは、ある真夜中、計画的に彼の豪邸から脱出を図る。失意のエイドリアンは手首を切って自殺をし、莫大な財産の一部を彼女に残した。セシリアは彼の死を疑っていた。偶然とは思えない不可解な出来事が重なり、それはやがて、彼女の命の危険を伴う脅威となって迫る。セシリアは「見えない何か」に襲われていること証明しようとするが、徐々に正気を失っていく。
<感想>
めちゃくちゃ評判がいいので、「映画館での上映をやってるうちに」と思って観ました。
私にはちょっと合わなかったです。全体的に退屈でした。
冒頭主人公がモラハラ夫の城から抜け出すシーンから始まるのですが、これがまず退屈でした。
どうやら隣で眠っている男を起こさないように、家を抜け出そうとしているんだな。ということは判るのですが、状況説明が無く主人公らしき女はなぜベッドを共にする男のもとから逃げなければいけないのだろうと思いながらしばらく見つづけなくてはなりません。
しかも主人公が使ってる枕が日本人にとっては信じられないくらい高い(厚い)んですよね・・・。首悪くするよ。冒頭はそれが気になってしまって集中できませんでした。
緊張感があり、音で脅かしてきたりするのですが、如何せん長い!
本作の面白さ・怖さは、女が透明人間スーツを着たモラハラ夫に追い詰められていくところにあります。
透明人間は妻のことは愛しているので、殺そうとするわけではなく、あくまでも自分のもとに戻って来るしかないように、女の家族や友人との交友関係をぶっ潰して行くのですが、そこは、見ごたえがありました。
夫にモラハラやDVを受けていたと女は言うのですが、そういったシーンは一切見せないんですよね。夫の影におびえる女の発狂具合ににだんだん共感が出来なくなっていく。だから観客さえも「もしかしてこれ、全部女の妄想なんじゃない?」と女のことが信じられなくなってくる。。
「誰にも信じてもらえない」という追い詰められた恐怖の描き方は凄かったです。
ただ、肝心の透明人間登場シーンがギャグなんですよね。
クライマックスあたりで透明人間vs警官という場面があるのですが、透明人間が素手でバンバン警官をなぶり殺していくんです。
どんだけ腕っぷしが強いんだと。もう「見えないものに追いつめられる恐怖」ってのはそこにはないんです。単純なモンスター映画みたいな。
そこそこ楽しめるけど、絶賛するほどなのかなと思ってしまいました。
評判がいいと聞いて観たので、ハードルが上がっていたのかもしれません。
以下、映画のオチに触れます。
最終的に女が夫に復讐を果たし、映画的には人間の怖さという余韻を残しながらもすっきりと終わります。、
ただ、私としては、夫が本当に透明人間だったのか?という疑問が残りました。
夫は嘘はついておらず、すべては本当に兄がやったことだったとしたら・・・。
ちょっと物理的に無理がありますが、そう考えるとより一層怖いなと。
むしろ、女もそれに気が付いていながら、夫を殺してくれたら、もっと面白がれたかもしれません。
この手の映画を見るとどうしても大どんでん返しを期待してしまいます。